日記

DIARY
2010/12/30    2010年もお世話になりました
今年もあと1日で終わろうととしている。みなさん当工房に数多くご訪問いただきありがとうございました。
 
今年の師走も例年同様、慌ただしかったなぁ…。 版画関係、野鳥関係、野球ファン関係などいろんな方面の忘年会が続き胃袋も少し疲れ気味である。年内になんとか終わらせようとする仕事も結局毎年ぎりぎりまで手をつけていたし、家の中の大掃除や年賀状出しなどもあって今日の夜、ようやくこの日記を書いている。
 
今年1年を振り返ってみると、今ひとつ作品と向き合う時間が少なかったような気がする。来年こそ、もう少しじっくりと腰を据えて制作したいものだ。物理的な時間というよりも集中力と持続力が当面の課題だな。
このサイトも開設して早いもので3年が経った。おかげさまで例年少しずつだが訪問数も上がりメールボックスへの投稿も増えている。そろそろリニューアルを考える時期かもしれない。
 
今朝のニュースで報じられていたが、今年の冬は何年ぶりかの寒波が日本列島を覆っている。なんでも北極圏からヨーロッパ、ユーラシア大陸を南下して来たという事だ。これから寒くなるぞっ!
 
この日記を読んでいただいているみなさん、今年1年間たいへんお世話になりました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。寒波に負けず2011年良い新年をお迎えください。
 
画像は庭先に咲いていた「山茶花」の真っ赤な花。
2010/12/17    「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」
11日、上野の国立西洋美術館で開催中の「アルブレヒト・デューラー版画素描展」を見て来た。
 
いまさらだがデューラーと言えば中世ドイツルネサンスを代表する画家、版画家であり、イタリアルネサンスのレオナルド・ダ・ヴィンチなどとも比較されるようなこの時代の巨匠である。
 
僕がデューラーの版画作品のまとまった展示を初めて見たのは1980年、東京池袋の西武美術館で開催された「幻想的予言と祈りの世界 デューラー版画展」だった…実に30年も前のことだったんだなぁ。当時、美大の受験のための絵画研究所に通いデッサンと油彩画を描く毎日を送っていたのだが、受験とは関係なくデューラーをはじめ、グリューネヴァルト、クラナッハ、アルトドルファー、ボス、ブリューゲルなどの北方ルネサンス絵画に魅かれていた。
明るい色彩のイタリアルネサンス絵画と比較してこれらの絵画の奥深い精神性と細密な描写表現に夢中だった。そういう年頃だったんだろうか。
 
今回の展覧会はオーストラリアのメルボルン国立ヴィクトリア美術館のコレクションによるものだが版画作品の印刷状態が良いことで世界的に知られているらしい。
混雑を心配して午前中から会場に入ったが空いていてとても見やすい。ペンのドローイングや水彩画も出品されているということで期待していたが代表的なものではなく、数も少なかったのが残念だった。
整然と展示された版画作品を順路を追って見ていくと銅版画のエングレーヴィング作品の名作、「騎士と死と悪魔」「書斎の聖ヒエロニムス」「メランコリアT」などの前に辿りつく。何度見ても緻密で奥行きのある小さな画面に吸い込まれてしまいそうだ。
 
今回、特に目をひいたのは聖書の物語を画題とした夥しい数の木版画の連作である。デューラーのペンによる原画を当時の彫版師が彫り、刷り師が刷ったものだが、ペンの線を実に忠実に再現していてとても木版画とは思えない。彫り残された黒一色の描線がまるでアラベスク模様のように浮かび上がり美しい。
こうした素晴らしい職人技が500年前に成立していたという事実に感動を覚えた。
展覧会でも作品の表には出ない裏方の詳細な記録をもっと展示、解説してほしいものである。
彫版道具や版木、当時の工房の様子を伝える図解などがあると版画作品がより、リアリティーを持って迫ってくると思うのだが。
 
空いていたこともあって何度も会場を行き来しながら銅版画や木版画の細かい線描をじっくりと確かめることができた。
 
展覧会は来年の1/16まで、まだご覧になっていない方は冬の1日、モノクローム版画の小宇宙を堪能されてはいかがだろうか。
 
画像は西洋美術館正面入り口に建てられた展覧会の看板
2010/12/14    1年の最後に良い知らせ
師走は公私共、人並みに気忙しく日記の更新が遅れてしまった。
 
覚えている方がいらっしゃるだろうか、一昨年ニュージーランドの国立美術大学で開催されている「環太平洋国際版画展」という国際コンペに出品、入選したことを日記に書いた。
このコンペ、アジア、ロシア、オセアニア、南北アメリカなど環太平洋地域に在住する美術家を対象に広く公募している展覧会で、隔年開催のビエンナーレ形式となっている。
 
今年もエアメールで要項が届き、前回同様第一次審査はデータと作品画像を取り込んだCDを展覧会事務局宛に郵送した。
しばらくして忘れていた夏の頃にコミッショナーの1人であるC女史からメールが届いた。
翻訳してみると「…あなたのCDが締め切りを過ぎて届いた…だが、作品の質が高いのでオリジナルを1度見てみたい。特例だが作品の版画シートと制作意図の文章を合わせてすぐに送ってくれ。」という内容だった。
もう1度要項を取り出してよく見直してみると、どうやら僕はCDの締め切り日と一次審査の公表の日を間違えていたらしい。
ながく国際展に出品しているが、随分と寛大な対応である。
丁寧にお礼の返信をしてから、大急ぎでダンボールの筒に木版画を梱包すると、すぐに国際郵便で発送した。
 
先月末、これもいつものことだが、いきなり展覧会のカタログが届いた。あまり期待もせず、ペラペラとページをめくっていくと入選者1人1人の作品とは別に、7点の優秀作品の中になんと僕の木版画が選ばれていた。7人のうち5人がカナダ、アメリカなど英語圏の作家で、僕以外に1人メキシコの作家が入っていた。
C女史からの急場の出品以来のお礼の手紙も同封されていた。
 
僕は作品の制作意図の最後に次のように書いた。「…この作品はギリシャ神話に登場する神の名を名乗ったことでカワセミに変容させられた女性、アルキュオネの一説を描いた。西洋に古くから伝わる神話世界を日本人である私が日本の伝統的木版画技法で表現した世界を広く英語圏の人たちに見ていただきたい。」
 
この思いが審査員に通じたのかな。
 
いずれにせよ、言葉も文化も異なる人たちに作品を高く評価されることは、うれしい事である。
選ばれた木版画作品「アルキュオネ」は当サイト木版画ページに画像を載せています。時間があったら開いて見てください。
 
寛大な対応で出品の機会を作っていただいたC女史のご好意に心から感謝します。
 
画像は複写したニュージーランドの地図
 

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Last updated: 2011/12/14