日記

DIARY
2011/12/31   木口木版画の蔵書票を制作
師走の押し迫った中、オーダーを受けている蔵書票の制作を行っている。

『蔵書票』は、一般にはあまりなじみのない版画のジャンルだが、愛書家で版画好きな美術収集家が自分の大切にしている豪華本などの裏表紙に貼り付ける小さな版画のことを言う。西洋では、歴史が古くその起源は15世紀ドイツに遡る。ラテン語で『EX LIBRIS(だれそれの蔵書から)』と表す。日本では明治33年、与謝野鉄幹主宰の文芸雑誌「明星」に紹介されたのが最初だとされている。

オーダーは票主と呼ばれるコレクターの方から、モチーフ、版種、文字内容、デザイン、印刷枚数などの希望を聞き可能な限り反映させてから制版(彫り)に入るのが常である。
票主は書物好き、文学好き、版画好きの方々が多く、注文内容も専門的なことが多い。僕の場合はふだんの版画作品の絵柄から幻想文学や鳥が好きな方からオーダーがある。コレクターの方も最近はそのあたりをわきまえていて版画家によって注文内容を変えているようである。

今回以来を受けたH氏の場合、まず、絵柄は「鳥であること、種類は問わないが絵の中に来年の年号を入れる」、版種は木口木版画指定で、文字内容はアルファベで、「EX LIBRIS ○○」という課題だった。
一口に「鳥」といっても種類が多く、下絵の時点でいろいろ迷った結果、ちょうど水彩画でアイヌ神話に登場するコタンコロカムイ(シマフクロウ)を描いていたので、鳥の中でも得意とするフクロウ類、シマフクロウを肖像画風に彫ることに決めた。黒白で表現する鳥は羽の質感や微妙な陰影を表現するのに苦労する。文字やフレームはフクロウの存在感をひきたてるようにできる限りシンプルなデザインとなるよう配慮した。

ようやく、3回の試し刷りを経て、彫りの仕事を完了。現在、本刷りに入っている。注文仕事というのは、普段自由に制作している時とは違い小さな作品であっても細部まで神経を使う。あとはコレクターが気に入ってくれるかどうかが一番大切なことである。

画像は製版中の木口木版画蔵書票の原板 

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Last updated: 2011/12/14